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FLATTEN関数とは?知られざる便利関数
FLATTEN
関数は、スプレッドシートの中でも比較的新しい・そしてあまり知られていない関数のひとつです。
複数行・複数列のデータを縦1列に圧縮して展開することができます。これにより、複雑な構造のデータを1次元のリストとして扱えるようになります。
FLATTENの基本的な使い方
Googleスプレッドシートの FLATTEN()
関数は、複数のセル範囲に含まれるデータを1列に変換してくれる便利な関数です。
行や列の形に関係なく、一つの縦長リストに整形できます。
=FLATTEN(A1:C3)
と書けば、A1~C3のすべての値を縦に並べたリストが取得できます。

ご覧のように、基本的には行列の「行」が優先して表示されます。
1→2→3→4…の順番。
列を優先したい場合、取得する複数行列リストにTRANSPOSE
関数を加えると実現できます。
=FLATTEN(TRANSPOSE(A1:C3))

1→4→7→2…の順番。
なぜ複数行のデータ処理に便利なのか?
複数セルに分かれたデータを一括で扱いたいとき、手動でコピペしていては効率が悪いです。
また、他の関数たちを組み合わせる必要があるため複雑になりがちです。FLATTEN
を使えば、行・列の形を気にせずに一つの「リスト」として集約でき、後工程の UNIQUE
や FILTER
と組み合わせやすくなります。
「後処理が楽になる」というのがめちゃくちゃ大切!
使用例:複数行セルをリスト化する方法
想定する入力データ
例えば以下のような形式で、複数のセルにカンマ区切りの文字列が含まれているとします。
A列 |
---|
apple,banana |
banana,orange |
grape,apple |
使用する数式の全体像
このようなデータを一括でリスト化するには、次のような式を使います。
=ArrayFormula(SPLIT(FLATTEN(SPLIT(A1:A3, ",")), ","))

各関数の組み合わせの意味と解説
式 | 内容 |
---|---|
SPLIT(A1:A3, ",") | 各セル内のカンマ区切りの要素をバラす |
FLATTEN(…) | バラした要素を縦一列に並べる |
SPLIT(…, ",") | さらに分割された文字列を整理 |
ArrayFormula(…) | 配列関数を一括で適用 |
分解して考えていくと、意外と簡単ですね!
実用例:タグ一覧や選択肢のマスター整理に応用
マーケティングやアンケートデータの整形
例えばアンケートで「好きな果物」を複数選択肢で受け取った場合、FLATTEN
を活用すると、全回答を1つのリストに整形しやすくなります。さらに UNIQUE
関数と組み合わせれば、集計・分析にそのまま使えるマスター一覧の完成です。
フィルタリングや重複削除にも有効
=UNIQUE(ArrayFormula(SPLIT(FLATTEN(SPLIT(A1:A10, ",")), ",")))
このような式を使えば、重複なしの一覧を簡単に取得可能。社内マスタの統一・整備やデータクリーニングにも活用できます。

注意点とよくあるミス
空白セルが混ざるとどうなる?
空白セルを含む場合、FLATTEN
によって空欄の要素も出力される可能性があります。必要に応じて FILTER
や IF
を組み合わせ、空欄を除外するのがおすすめです。
筆者がよくやる処理は以下です。FLATTEN
で1列のリストを取得→そのリストに対してFILTER
関数で「空白を除く」処理をする。
=FILTER(FLATTEN(A1:C3),FLATTEN(A1:C3)<>"")

セルが多すぎると処理が重くなる?
大量のデータを扱う場合、FLATTEN
を含む配列式はやや動作が遅くなることがあります。
その際は列数・範囲を絞る、あるいは QUERY
関数などへの切り替えを検討してください。
まとめ:FLATTENは地味だけど超便利な裏技関数
まとめ
- 複数行・複数列のデータを1列にまとめたいとき、
FLATTEN
は抜群の効果 - 特に
SPLIT
・UNIQUE
・ArrayFormula
との組み合わせが鉄板 - 一見地味でも、実務で役立つシーンが非常に多い
この1式を知っておくだけで、毎回フィルタや関数を何段階も組む必要がなくなります。
地味ですが超便利な数式なので、「使いどころ」をぜひ意識して活用してみてください。
この記事を書いた人

今村 壱生(IMAMURA Issei)詳細はこちら
29歳のエンジニア兼マーケター。Re PROViSTAとして、生成AI、Webアプリ開発、業務自動化、BI導入、Web広告運用など、幅広い分野で活動中。システム構築では、要件定義から設計・実装・運用まで一貫して対応。また、小説執筆も手がけるなど、クリエイティブな一面も持つ。